地方銀行での働き方を最大化させる
地方銀行の仕事は面白いが、理不尽もある
地方銀行で30年間勤めてきて思うのは、仕事の内容は、お客様と接する機会が多くあり人脈ができて、かつ金融の知識が得られるという、恵まれた環境で仕事ができていたと思います。
一方で、地方銀行の職場は封建的な体育会系の風土もあり、理不尽なことがあるのも事実です。さすがに最近はコンプライアンスの問題で、20~30年前と同じような理不尽なことが今もあるとは思いませんが、職業柄厳しい部分もあると思います。
生き抜くためには精神的な自律が必要
厳しい職場で生き抜くためには、自分自身が精神的に組織から自律していることが大切だと思います。人間は感情の動物ですから、どうしても周りの人の動きに影響されてしまいます。この影響を少なくしていくには、自分自身が組織から精神的に自律する状態を作ることです。
自律しているために必要な事は、今自分が携わっている仕事が、自分の意思できていると思えることです。そう思えるためには、「嫌なものは嫌」と考えられることです。
精神的な自律の為には、経済的な安定が必要
自律した精神を持つためには、銀行を辞めても金銭的、収入的に大丈夫という状況を作っておくことが大切です。
理不尽なことがあっても「違うことは違う」とはっきりいえる、もしくは、はっきりいえないまでも自分の信念の中で「違う」と思える状態を作ることが大切だと思うのです。
銀行から給料をもらっていて、「この収入が無くなると困る」という状態になってしまうと、どうしても不本意な仕事も受け入れなければなりませんし、精神的にも追い込まれます。
開き直って、「静かな退職(目の前の仕事を最低限こなしていく、給料以上の仕事はしない)」という選択肢もありますが、せっかく面白い仕事を経験できるのに、お金のためだけに働くというのは、もったいないと思うのです。
「殺生与奪の権」を自分で握る
ではどのような状況が一番良いのかというと、いつでも辞められる状態にあるが、仕事が面白いから働いている。お金のことをあまり気にせずに、自分本位で働けているという環境を意図的に作ることが大切だと思います。
自分自身の人生に対して意思決定権を自分が持つ状態を作る。「殺生与奪の権」を組織に握らせないということが大切です。
銀行を辞められる状態は、自分が他の仕事にいつでも転職できる。銀行を辞めて収入がなくなっても、しばらくは大丈夫という状況を作ることです。
自律のためにお金を貯める
そのためにはお金を貯めて、経済的な余裕を持つことが必要です。お金を貯める一番手っ取り早い方法は、給与天引きで積立や、持ち株会をすることです。
給与から天引きをしてしまえば、初めから手の残りのお金で生活するようになります。何の考えもなく貯蓄をすることができます。今であればこの天引きを、積み立てNISAで運用するのも大いにありです。
副業で複数の収入源を作る
もう一つは複数の収入を持つようにすることです。副業です。銀行からの給与収入以外に、月に2万円でも、3万円でも良いので、銀行の給料とは別の収入源を作ることです。
銀行員は真面目な人が多く、目の前の仕事を一つ一つコツコツとする人が多くいます。コツコツと仕事をすることが悪いことではありませんが、これだけ社会環境の変化が大きい時代には、銀行の仕事だけに専念するというのはリスクがあります。
また副業をしている仕事の周りには、銀行では出会えない人の新たなネットワークがあります。そのネットワークが銀行の仕事に役立ったり、新しい事業のきっかけになることもあると思うのです。
銀行でのネットワーク作りと、副業でのネットワーク作り、系統の違う複数のラインでネットワークを作っていくことが、将来の自分の可能性を広げるチャンスにつながると思います。
収益用不動産で新たな収益源を作る
そして地方銀行員の方にお勧めなのが、収益用不動産投資で新たな収入源を作ることです。銀行員はお客様の収益物件のファイナンスをサポートすることが多いと思います。私は銀行員自身も収益用不動産投資をするべきだと思っています。
銀行員であれば分かると思いますが、物件の20~30%程度の頭金があれば金融機関から借入れすることができます。不動産投資をして15年から20年経てば、借入残高が減って、自分自身の経済的な自由度は上がってくるはずです。
パートナー(奥様)にも協力してもらう
もう一つの方法は、パートナー(奥様)にも自分と同じような感覚で働いてもらうことです。収入の額は関係ありません。パートナーが働いてくれているだけで、家族の中では収入源が2つになります。それだけで家計全体で考えるとリスク低減しています。
パートナーも自分と同じように副業を作っていれば、一つの家族の中で四つの収入源ができることになります。四つの収入源があれば、かなり精神的にも経済的にも安定していきます。
パートナーには自身の得意なことを、仕事にしたり事業にしてくれていると、将来的にいろいろな方面に広がりがでる可能性が高いので、なおさら良いと思います。
奥様が自分と同じような感覚で働いていてくれると、家族の中でお互いに助け合ったり、ビジネスのサポートをしあったりと、一人ではなし得ないようなことを、二人であれば達成できると思います。
自律して地方銀行での仕事をより良くする
そしてここに不動産収入による上乗せの所得が加わってくれば、余裕ができて人生や仕事がより良いものになっていくのではないでしょうか。精神的、経済的な安心を獲得していれば、銀行での仕事は怖いものなしです。
銀行の仕事はますますAIが入ってきて、DX化が進んでいくはずです。現場を持っている地方銀行の仕事はますます広がってくるはずです。その職場で自分自身が精神的に自律していれば、プライベートと銀行の仕事の両方が、相乗効果を生み出してより良い人生が過ごせるのではないでしょうか。
私自身の経験から、地方銀行の仕事の内容は良かったと今更ながら思っています。これから地方銀行に就職を考えている人や、今地方銀行で働いている若い人たちの、働き方の参考になればと思います。
★著書:「地方銀行ノマド ~地域ネットワーク×WEBマーケティング~」 藤堂敏明
★藤堂敏明オフィシャル・サイト
https://www.toshiakitoudou.com/