10年後の地方銀行を想像して就職を考える
地方銀行に対するイメージ
みなさんが持つ、地方銀行に対するイメージはどのようなものがあるでしょうか?
- 地域の中での信用力が高い。
- 地域の他の企業よりも給与水準が高い。
- 仕事がきつそう。ノルマがきつそう。
- お金を取扱うのでキッチリした性格でないと勤まらないのではないか。
etc。
実態も一般的に思われるイメージとおおよそ同じかと思います。
地方銀行のおかれている環境
ここでは地方銀行のおかれている立場や環境から、地方銀行を就職先として考えるヒントにして欲しいと思っています。
AIが一番得意な情報処理で効率化が進む
これから銀行経営で一番影響を受けるのはAIです。地方銀行が取扱っているものは、お金(融資・預金・決済・証券・保険他の取扱い)です。お金には形が無く、お金を通じた情報としてサービスが提供されています。AIの進化により一番影響を受けるのが情報なのです。
AIが発達することで、今まで人の手を介して行っていた事務作業や、意思決定の多くがAIのサポートにより、効率化されて行きます。今までの銀行の業務は、行員(人間)がお客様の経営情報や資産状況を理解して、融資や証券・保険のサービスにつなげていました。
最近ではコンサルティング業務にも進出しております。お客様の課題に対して改善提案を行ったり、環境分析を行ったりということになります。こちらも情報をもとにした改善提案を行う作業になります。このような作業はAIが発達してくる中では、大幅に効率化されて、AIが代替してくれる(しなければならない)作業になります。
人間(行員)ができることに集中する
AIが発達するなかでは、人間(行員)がすることは、お客様の付加価値を高めるサポートをすることに集中していくことが予想されます。AIができることはAIに任せて、人間しかできないことを人間(行員)が行うということが起こってくると思います。
中小企業は経営課題を言語化することが苦手
人間(行員)にしかできないことは、お客様が言語化できない悩みや課題を読み取り、言語化していくと言うことです。AIはプロンプトで指示したり、要件定義をしてあげないと答えてくれません。しかし地方の中小企業さんは、自分たちの経営課題や悩みを漠然と感じていて、言語化できていない企業さんが多くあり、AIを上手く使いこなせない可能性があります。
地方銀行は、このような課題を持っている地域の中小企業さんに対して、地域の中で顧客接点を多く持っています。つまり地域の課題に常に接している状態にあるわけです。この課題をもっているお客様に対して、課題解決の提案を行ったり、お客様の資源を使って一緒に新しい事業を創るサポートをしたりすることがメインの仕事になってくると思います。
このような仕事ができるのは、地方銀行がお金を通じて、地域のお客様と直接繋がるネットワークを持っているからです。
地方銀行の主要な取引先は地域の中小企業です。日本の中小企業数は約358万社あり、日本の全体の企業数の中で99.7%になります。そして中小企業で働く人の数は、日本の労働者の約7割になります。中小企業は日本の産業を支えているといえるわけです。この地域の中小企業をサポートしているのが地方銀行ということになります。
働き手不足の中小企業を救う地方銀行
地方銀行を取り巻く環境要因として、人口減少による働き手不足があります。働く人の数がどんどん減っていて、地域の中で課題解決を図いく人材が枯渇していくのです。人材が希少価値を生みます。
中小企業は様々な課題を抱えています。従来の地方銀行のサポートは、お金だけに関わりを持っていればよかったのですが、人口減少が進むなかで、人材が不足しており、なかなか課題解決に手がつけられない現実があります。そこに地方銀行が活躍できる場面が多く出てくると思っています。
地方銀行の行員さんが、地域の中小企業さんの課題解決をサポートする人材として活躍する場面が必ずおとずれると思います。私は地域経済に全体的に関われる地方銀行の行員さんが、地域の中小企業の課題解決に関わる仕事をすることが一番適任だと思います。
10年後は地方銀行の働き方が大きく変わる
地方銀行自身も地域の中小企業と同じような課題を抱えています。しかし、AIの進化により一番業務効率が図れる立場にいるのが地方銀行なのです。10年後の地方銀行の業務内容は大幅に効率化されると思います。今の業務の50%も効率化される可能性があるのです。
効率化された時間や経営資源を、地域の中小企業を助けるための仕事や、地域の中で新しい事業を起す仕事に割振るということが出てくると思うのです。そこにこれからの地方銀行の行員さんは関わる可能性が出てくるのです。
今地方銀行に入行して10年経てば、金融に関する知識や、お客様をサポートする仕方を学べて、日本の中で新しい中小企業の活動や地域の活動の仕方が出てくるような気がします。そこに現場の当事者として地方銀行員は立ち会える可能性が高いのです。
地方銀行での経験で自分のキャリアをアップさせる
このようなことを経験することは他の業界ではできないと思います。これからは副業やダブルワークといった考え方も普通になってくるはずです。その時に地方銀行の背番号(所属している)を持ちながら、地域のお客様の困り事に対処できる存在であることは、自分自身のキャリアとしても強みであり、役立ってくるはずです。
自分の成長と地域の活性化を図ることを仕事にしたいと思う人にとっては、絶好の職場になると思います。ぜひ地方銀行への就職にチャレンジしてほしいと思っています。