【若者人口半減時代の処方箋】地方銀行が生き残るための地域活性化戦略:地域人材シェアリングによる「点」から「面」のイノベーション

2024年12月31日

🚨地方銀行を直撃する人口減少と若年人材の枯渇

「人口減少」は、もはや地域社会の課題ではなく、地方銀行自身の存続に関わる喫緊の経営課題です。

日本の出生数は、2000年の119万人から2024年には68万人で、2025年は66.5万人の予想です。この傾向は加速する可能性が高いのが現状です。これにより、地域では若く優秀な人材の希少性が極度に高まっています。

この若年人材の不足は、地方銀行の主要な融資先である地域企業の事業承継や存続そのものを困難にし、結果的に銀行の収益力低下と不良債権リスク増大に直結しています。

このような明白な危機に直面する中で、これまで行政や地域金融機関、地域おこし隊などが個別に行ってきた地域活性化活動の非効率性を放置することは、地域全体の共倒れを招きかねません。

👥シェアリングエコノミーの発想を地域人材の活用へ

一般に、シェアリングエコノミーとは、「個人等が保有する活用可能な資産(スキルや時間等の無形のものを含む)を、インターネット上のプラットフォームを介して、他の個人等も利用可能とする経済活動」を指します。

この発想を応用し、地域活性化活動に関わる各組織(自治体、地域金融機関、地域おこし隊)が、保有する優秀な人材を組織の垣根を越えて融通し合うことが、人口減少時代の地域活性化の鍵になるのではないでしょうか。

優秀な人材の「重複」という非効率性

現在、隣接する自治体や地域内の複数の組織が、それぞれに地域活性化プロジェクトを立ち上げています。しかし、プロジェクトの内容は違えど、「地域を良くしたい」という志を持つ優秀な職員が、組織ごとに同じような機能として働かされているケースが少なくありません。

例えば、地域活性化の企画立案・実行に関わる人材が、隣街でも同じような業務に就いている場合、地域全体で見ればリソースが分散し、活動が「点」にとどまるという非効率性が生まれています。

この限られた優秀な人材を、所属組織の枠を超え、プロジェクトベースで地域全体に**「共有(シェアリング)」**していく必要があるのです。

**【参考】**人材シェアリングは、個人レベルでは「複業(副業)」として実践可能です。行員個人のキャリア形成と経済的自律の重要性については、こちらもご覧ください。『地方銀行員のキャリアを最強にする複業(副業)|経済的自律で仕事のやりがいを最大化し、未来を自分で握る方法』を参照ください。

🤝地方銀行が人材シェアリングを推進すべき理由

この地域横断的な人材シェアリングを現実のものとする上で、地方銀行は中核的な役割を果たすことができます。

1. 地域社会における「信頼」という最強の無形資産

行政、事業会社、個人、そして各種団体と、地域内で広範な取引と関係性を持つ地方銀行は、他のどの組織よりも高い信頼性強固なネットワークを保有しています。

この強大な無形資産こそが、組織間の利害を超えて人材交流の仕組み(プラットフォーム)を構築し、維持していく上での絶対的な基盤となります。

**【必読】**地方銀行の最強の無形資産である「地域ネットワーク」を戦略的に活かし、収益につなげる具体的な人的資本経営の戦略については、こちらの記事で詳細に解説しています。『地方銀行の最強の無形資産:地域ネットワークを活かした「人的資本経営」と収益化戦略』を参照ください。

2. 「点」の活動を「面」のうねりに変える推進力

地方銀行がハブとなり、自治体や町おこし隊の担当者、そして銀行自身のノウハウを持つ行員が、組織横断的にプロジェクトに参加することで、活動は個々の組織の「点」ではなく、地域全体を巻き込む**「面としての広がり」**を持ちます。

この「人材のシェアリング」は、地域活性化の新たなイノベーションを生み出す強力なうねりとなっていくでしょう。

**【関連提言】**この人材シェアリングを成功させるには、行内での人的資本の再構築が不可欠です。地域金融力強化プラン成功のための具体的な現場改革への提言は、こちらの記事もご参照ください。『 【地方銀行の未来】地域金融力強化プラン成功の鍵:人的資本の再構築と現場改革への提言』を参照ください。

💧「まずは提供する」という長期視点の経営判断

この協働体制を築くためには、まず各組織の意識改革が必要です。

私が個人的に尊敬する先輩経営者の「水桶の例え」があります。水桶の中の水(自分が欲しいているものの例え)が欲しいときに、手前に掻いても得られるのは掻いた分だけです。しかし水を逆に押してやると、その波紋が大きなうねり(波)となって自分や周りに還ってきます。

地方銀行も、目先の自社の利益(自組織の施策)に執着するのではなく、地域全体の将来の活性化という共通利益のために、まずは優秀な人材や知見を提供するという利他的な発想が必要です。

行政や地域金融機関が、地域の共通利益のために協力体制を築き、新しいプロジェクトを共に作り出すこと。この「まずは提供する」という発想が、将来的に必ず大きな良い循環(うねり)を生み出し、人口減少時代における地域活性化の先導となり、地方銀行の持続可能性を高めることにつながるのでではないでしょうか。

その活動の中心に、地域からの信用と事業会社としての機能を併せ持つ地方銀行の職員が関わることこそ、地域の誰もが納得し、地域全体を動かす構図になると思います。

【著者紹介・書籍案内】

本記事で展開した「地域ネットワークの活用」「地域活性化」を通じた地方銀行の変革戦略は、著者・藤堂敏明の著書**『地方銀行ノマド ~WEBマーケティング×地域ネットワーク~』**にて、より深く体系的に解説されています。地方銀行の未来と、そこで働く個人のキャリアを変えるための具体的なステップにご興味のある方は、ぜひご一読ください。

著書:「地方銀行ノマド ~地域ネットワーク×WEBマーケティング~」  藤堂敏明   


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