地方銀行の「ネットワーク効果」を最大化する:GAFAの理論をリアルの世界で応用するスケールフリー戦略
序章:地方銀行の「地域ネットワーク」こそが、GAFAを超える最強のインフラである
地域金融機関のDX化を考える上で、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)のビジネスモデルは非常に重要な示唆を与えます。これらの巨大IT企業が、わずか20年ほどで世界経済を牛耳る規模に成長したのは、**「情報」を取り扱い、「ネットワーク効果」**を使って事業領域を強固にしたからです。
しかし、今後のネット空間の勝敗を分けるのは、サイバー空間の情報ではなく、リアルの世界で収集・活用される情報であるという提言があります。
東芝元社長の島田太郎氏と尾原和啓氏の共著『スケールフリーネットワークものづくり日本だからできるDX』が示すように、ネット社会で覇権を握ったGAFAたちも、リアルの世界の情報を取得することに力を入れ始めています。
これからのネット空間の勝敗を分けるのは、**「リアルの世界の情報をデジタル化できた事業者」**です。そして、この最強の「リアルの情報インフラ」を既に地域の中で構築しているのが、他ならぬ地方銀行なのです。
第1章:GAFAに学ぶ「スケールフリーネットワーク」の破壊力
GAFAのビジネスモデルの特徴は、**「スケールフリーネットワーク」を活用している点にあります。この理論のキーワードは「ハブ」**です。
ハブ空港の例 世界の航空路線を考えると、路線が多いハブ空港と、路線の少ない大部分の小さな空港が全体として繋がって、効率的に運営されています。人々はハブ空港を経由することで、目的地に早くスムーズに到着できます。
GoogleとFacebookの「ハブ」 この構造は、GoogleやFacebookのネットワークシステムも同じです。
- Googleの場合: 世界のWEBページの中で「評価の高いページ」がハブとなります。消費者が検索したときに、そのハブとなるページを上位に表示させることで、検索市場を独占し、検索連動型広告でマネタイズを成功させました。
- Facebookの場合: Facebook上で「友達が多い人」がハブとなります。このハブが結節点となって、趣味や思考を切り口とした無限大のつながりを可視化し、WEB広告でマネタイズを成功させました。
情報やネットワークを扱う企業にとって、**「スケールフリーネットワークのハブを制すること」**が、事業の成功、そして独占の鍵となることが分かります。
第2章:地方銀行の現場にこそ「リアル世界のハブ」がある
実は、地域金融機関はすでにリアルの世界で、GAFAと同じスケールフリーネットワークを構築しているのです。
地域金融機関は、支店にいる担当者を通して無数のお客様とつながっています。この**「支店の担当者」こそが、GAFAのプラットフォームにおける「評価の高いページ」や「友達が多い人」と同様の「ハブ」**としての役割を担っています。
- 取引先のつながり: 地域の取引先のお客様同士は、取引関係や地域の活動を通じて、無数につながっています。
- ハブの役割: 地方銀行の現場の社員は、そのお客様と日々接し、相談を受け、信頼を築くことで、取引先のお客様を通じて**地域のネットワーク全体につながる「結節点(ハブ)」**となっているのです。
この地域ネットワークは、サイバー空間上のGAFAのネットワークよりも、**「信用」**という最強の要素を基盤としており、情報量と結合の強さにおいて、はるかに強固で破壊的なポテンシャルを持っています。
※この地域ネットワークが持つ普遍的な価値と破壊力、そして**【低PBR解消と人的資本経営】**を達成するための戦略については、こちらの記事で詳しく解説しています。
第3章:地域ネットワークを「収益」に変えるデジタル化戦略
GAFAがWEB上での独占を図ってからマネタイズを成功させたように、地方銀行も、この既に構築された「地域ネットワーク」を能動的に活用し、収益を生み出す仕組みに変えるべきです。
収益化の鍵は「デジタル化」 リアルの世界のネットワークを収益化するためには、GAFAが行ったように、**ネットワークの情報を「デジタル化(言語化と可視化)」**することが不可欠です。
※ネットワークから得た情報を収益に結びつけるには、言語化と企画力が不可欠です。この能力をどのように地域金融機関の強みとするかについては、過去記事で論じている【言語化と企画力が地域金融機関の強みになる】。
- 人から仕組みへ: 現場の行員という属人的な「ハブ」の能力を、組織全体で共有できる「仕組み」に変えます。
- 価値創造活動の仕事化: 銀行がネットワークのハブとなり、お客様同士、あるいは外部のソリューションを持つパートナーを繋ぎ、地域課題解決の「付加価値共創プロジェクト」を能動的に作っていく。
AIによる事務削減時間を人件費削減で終わらせるのではなく、この**「地域ネットワーク」を活用した高収益な仕事を生み出すこと**に投資することが、真の未来志向の経営です。
※このネットワークを能動的に収益モデルへと転換させるための具体的な戦略は、過去記事**【現場DXの処方箋】**で詳述しています。
まとめ:GAFAの時代を超える、地方銀行の真の優位性
世界を席巻するGAFAのビジネスモデルは、「スケールフリーネットワーク」という普遍的な原理に基づいています。そして、地方銀行はリアルの世界で、それと同等かそれ以上の強固なネットワークという最強の無形資産を既に持っています。
次の時代を制するのは、「リアルの世界」の情報をデジタル化できた事業者です。地方銀行が持つこの優位性を最大限に活かし、地域活性化と高収益化を実現するための「仕組み」づくりこそが、今、最も求められています。
※この「仕組みづくり」の究極の形として、地域人材シェアリングによる**「点」から「面」のイノベーション**を起こし、地域を活性化させる戦略をこちらの記事で具体的に提言しています。 『【若者人口半減時代の処方箋】地方銀行が生き残るための地域活性化戦略:地域人材シェアリングによる「点」から「面」のイノベーション』。
地方銀行が低PBRを解消し、持続的な収益力を得る鍵は、地域に根差した**「無形資産(地域ネットワーク)」**の収益化にあります。この最強の無形資産を、デジタル時代に最適化し、地域共創の新しい収益モデルへと進化させる戦略と実践知を、こちらの著書に集約しています。現場を疲弊させずに高収益を実現する道筋をご提示します。
★著書:『地方銀行ノマド ~地域ネットワーク×WEBマーケティング~』
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